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強迫性障害

強迫性障害

強迫性障害強迫性障害は、世界保健機関(WHO)で「生活上の機能障害を引き起こす10大疾患」のひとつとされています。ですが、一般的にそれほど知られていないのが現状で、日本で強迫性障害として報告されている患者さんの数は、欧米と比べて随分少ないようです。実際は、50~100人に1人の割合で患者さんがいるのではないかと考えられています。

強迫性障害の症状には次の2つがあります。

(1)強迫観念

自分で「そんなことはない」と分かっているのに、考えが意思に反して何度も思い浮かんでしまい、その考えにとらわれ、強い不安に襲われます。

(2)強迫行為

強迫観念によって生じた不安をかき消すために、何度も同じ確認を繰り返したり、「意味のないこと」と思いながらも同じ行動を繰り返したりします。

症状

強迫観念と強迫行為としてよくみられる症状には、次のようなものがあります。

  • 不潔恐怖と洗浄
    自分が汚れている、細菌がついているのではないかといった恐怖から、過剰に手洗いや入浴、洗濯などを何時間もかけて繰り返したり、ドアノブや手すりなどが不潔だと感じ、怖くて触れなかったりします。
  • 加害恐怖
    誰かに危害を加えたかもしれない、あるいは加えてしまうかもしれないという不安が拭えないため、新聞やテレビに出ていないかを確認したり、警察や周囲の人に確認したりします。
  • 確認行為
    戸締まりや、ガスの元栓、電気器具のスイッチをちゃんと消したかを、見たり触ったりして何度も確認してしまいます。
  • 儀式行為
    自分の決めた手順でしないと恐ろしいことが起きるという不安から、毎回同じ方法で用事をしないと気がすまなくなります。
  • 数字へのこだわり
    不吉な数字・幸運な数字に対して過剰なこだわりをもちます。
  • 物の配置、対称性などへのこだわり
    物の配置に一定のこだわりがあり、必ずそうなっていないと不安になります。

これらのような症状があり、何をするにも時間がかかってしまう、疲れきって他のことが出来ないなど、日常生活に支障をきたしている場合、また確認行為によって周囲を巻き込んでしまうことで、家族や親しい人たちが困っている場合は、医療機関への相談をお勧めします。

治療法

強迫性障害の治療には、薬物療法と心理療法があります。
まず、患者さんの多くが感じている強い不安や、抑うつ感を軽減させるために、抗うつ薬を使用します。そして症状の軽減がみられたら、必要に応じて心理療法を行っていくのが一般的な方法です。
使用する抗うつ薬は、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)であるパロキセチンやフルボキサミンが主流となります(現在、日本で強迫性障害の治療薬として認可されているものです)。
このお薬の特徴として、効果がでるまでに少なくとも約1~2週間かかるため、長期間にわたって服用を続けてもらう必要があります。また、経過をみながらですが、必要に応じて、お薬の量をある程度まで増やしていく場合もあります。ただし、副作用として、胸やけや吐き気、胃痛、下痢などの消化器症状がみられることがあるため、服薬を始めてしばらくは、お薬がご自分に合っているのか、医師としっかり相談しながら治療を進めていってください。
心理療法では認知行動療法のひとつである、『曝露反応妨害法』があります。
まず、不安を引き起こす物や状況に敢えて直面し、徐々に不安に馴らしていくようにします(曝露法)。そして、今まで不安を抑えるために行っていた強迫行動をとることを我慢するようにします(反応妨害法)。この一連の課題を繰り返すことで、強迫症状の軽減をはかります。

最後に

強迫性障害という病気は、生活上のストレスをきっかけに症状がみられることが多いと言われていますが、まだその原因は分かっていません。
ただ単に神経質、几帳面といった性格だけでは説明がつかないほど、通常の生活を送ることが困難になり、重症になると、外に出られなくなる場合もあります。
また、患者さんが不安を打ち消すため、周りの人たちに確認をさせるなどの行動を求めてしまい、家族や友人の方を巻き込んでしまうことも少なくありません。
強迫性障害の治療には時間がかかります。お薬の量が多くなるかもしれません。
ご自身だけで頑張ろうせずに、医師や心理士と協力しながら、今の生活をより過ごしやすいものにしていけるよう、焦らずに治療を続けてみてください。

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院長
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院長
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院長
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午後1診

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